川俣 正KAWAMATA Tadashi

1953年北海道生まれ。フランス在住。1982年のヴェネチア・ビエンナーレ以降、世界各国の国際展やグループ展に参加し、2005年横浜トリエンナーレでは総合ディレクターを務める。東京藝術大学先端芸術表現科主任教授、パリ国立高等芸術学院教授を経て、現在もパリを拠点に活動。完成までのプロセスを作品とみなすワーク・イン・プログレスの手法を基本とし、公共空間に木材を張り巡らせるなど大規模なインスタレーションが多く、建築や都市計画、歴史学、社会学、日常のコミュニケーション、あるいは医療にまでその領域は多岐にわたる。東北では、「仙台インプログレス」(宮城県仙台市沿岸部/2017年~)や、「Reborn-Art Festival 2021-22[後期]」(宮城県石巻市/2021-22)でプロジェクトを展開している。第63回芸術選奨文部科学大臣賞受賞(2012年度)。
川俣正《Under the Water》2016年、ポンピドゥ・センター・メス
川俣正《Under the Water》2011年、カメルメノウ
略歴

1979年  
 東京藝術大学美術学部油画科卒業

1984年
 東京藝術大学美術学部博士課程満期退学

1999-2005年 
 東京藝術大学美術学部先端芸術表現科教授

2007-2019年 
 パリ国立高等芸術学院教授

主な個展、プロジェクト

1979年
 「バイランド」多摩川河岸/東京

1980年
 「プロジェクト・ワーク・イン・高山」高山建築学校/岐阜

1982年
 「宝ハウス205号室」東京

1983年
 「大手門・和田荘」福岡市美術館/福岡
 「スリップ・イン・所沢」所沢/埼玉
 「テトラハウス N―3 W―26」札幌

1984年
 「工事中」ヒルサイドテラス/東京

1985年
 「ライムライト・プロジェクト」ライムライト/ニューヨーク(アメリカ)
 「PS1プロジェクト」PS1/ニューヨーク(アメリカ)

1986年
 コンストラクション・サイト・プロジェクト「スプイ・プロジェクト」デン・ハーグ(オランダ)

1988年
 コンストラクション・サイト・プロジェクト「袋井駅前プロジェクト」駿河銀行/静岡
 「比燕荘」京都

1989年
 「トロント・プロジェクト:コロニアル・タヴァン・パーク」トロント(カナダ)
 「ビギンホフ・セント・エリザベス」コートレイク(ベルギー)

1990年
 「サイドウォーク」コロンバス(アメリカ)

1993年
 「フラウエンバット」リマット川及びヘルムハウス美術館/チューリッヒ(スイス)
 「パッサジオ」プラート(イタリア)

1994年
 「サナトリウム」洗足池病院/東京
 「トランスファー/トランスフェール」CCC/トゥール(フランス)、アトリエ・カルダー/サシェ(フランス)

1995年
 「トラム・パッセージ」ヴェレイン・スタッドラウム・レミーゼ/ウィーン(オーストリア)
 「ブンカー」クンストハーレ/レックリングハウゼン(ドイツ)

1996年 
 「サイド・ウォーク」ヴィナー・ノイシュタット(オーストリア)
 「ワーク・イン・プログレス」(〜1999年)、ツグ(スイス)
 「ブリッジ・ウォークウェイ」バルセロナ現代美術館/バルセロナ(スペイン)
 「ワーキング・プログレス」(〜1999年)、アルクマー(オランダ)
 「コールマインプロジェクト・イン・タガワ」(〜2006年)、田川/福岡

1997年
 「リロケーション」アネリー・ジュダ・ファイン・アート、サーペンタイン・ギャラリー/ロンドン(イギリス)
 「椅子の回廊」サルペトリエール病院サン・ルイ教会/パリ(フランス)

1998年 
 「ワーキング・プログレス/ボート・トラヴェリング」マルクマーほか(オランダ)
 「椅子たちの旅」オテル・サンリヴィエール/メッス(フランス)、シナゴーグ/デルム(フランス)
 「芸術の家」州立近代美術ギャラリー/ミュンヘン(ドイツ)
 「東京プロジェクト:ニューハウジングプラン」東京

1999年
 「ワーク・イン・プログレス:プロジェクト・イン・豊田」(〜2003年)豊田市美術館/愛知
 「松之山プロジェクト」松之山/新潟
 「ツリー・ハット」ボン美術館/ボン(ドイツ)

2000年
 「ヴューポイント・テラス」ハノーファー(ドイツ)
 「Sur la voie(道往き)」エヴリュウ(フランス)
 「トレンチ・アンド・ブリッジ(土嚢と橋)」ミドルハイム(オランダ)
 「カナル・ボート」アイコンギャラリー/バーミンガム(イギリス)
 「ロッジング・ロンドン」ロンドン(イギリス)

2001年
 「ロッジング東京」東京
 「プラン・イン・プログレス」ボストン(アメリカ)
 「デイリーニュース」水戸芸術館/茨城

2002年
 「オブザーベイション・バルコニー」エクスポ02/ヌシャテル(スイス)
 「ファユーカ」Ex-Teresa Arte Actual /メキシコ・シティ(メキシコ)

2003年 
 「ブリッジ・アンド・アーカイヴス」モイランド城美術館/ベッドブルグ・ハウ(ドイツ)

2004年 
 「ウッド・テラス・ビーチ」ティンゲリー美術館/バーゼル(スイス)
 「メモリー・イン・プログレス」(〜2006年)、サンテロー

2005年
 「デトゥール・デ・トゥール」Le Creux de l’Enfer/ティエール(フランス)、アデマール城/モンテリマール(フランス)

2006年
 「ワーキング・オン・バレル」フレス(フランス)
 「Xiringuito a Mataro Arquitectures Temporals」マタロ(スペイン) 

2007年
 「椅子による聖堂」ランス(フランス)
 「オブセルバトアール」エスチュエール(河口)/ナント(フランス)
 「ビュー・ポイント・テラス・イン・パダボーン」パダボーン(ドイツ)
 「ツリー・ハット・イン・バーゼル」アートバーゼル/バーゼル(スイス)
 「ツリー・ハット・イン・トロンドヘイム」ジェネレイター9/トロンドヘイム(ノルウェー)

2008年
 「通路」東京都現代美術館/東京
 「ツリー・ハット・イン・パリ」パリ(フランス)
 「ガンダメゾン」ベルサイユ(フランス)
 「ツリー・ハット・イン・ニューヨーク」ニューヨーク(アメリカ)
 「ツリー・ハット・イン・マイアミ」マイアミ(アメリカ)

2009年
 「コールマイン・プロジェクト(筑豊、空知、ルール)」目黒区美術館/東京
 「フット・パス」ボルドー(フランス)
 「ベルリン・ツリーハット」ベルリン(ドイツ)
 「オコトリ・バスケット」トゥール(フランス)
 「キャビネット・アーカイヴ」アヴィニョン(フランス)
 「コールマイン・プロジェクト・イン・三笠」三笠/北海道
 「オブザベートリー」エスチュエール2009/ナント(フランス)
 「ツリーハット」ドンジョン・ド・ベズ(フランス)

2010年
 「東京インプログレス」(〜2014年)、東京
 「ドリフト・ストラクチャー」ウスター(スイス)
 「ウォークウェイ・アンド・タワー」エムシャークンスト2010/エッセン(ドイツ)
 「カルトンワークショップ」ポンピドーセンター/パリ(フランス)

2011年
 「ショーモン・シュル・ロワール・プロジェクト」ショーモン・シュル・ロワール(フランス)
 「北海道インプログレス」(〜現在)、三笠/北海道
 「アンダー・ザ・ウォーター」ギャラリー・カメル・メノウ/パリ(フランス)

2012年
 「ボックス・コンストラクション」釜山(韓国)
 「ボックス・コンストラクション・大邱」大邱美術館/大邱(韓国)
 「エクスチェンジ・ライブラリー」パリ(フランス)
 「コーナーストラクチャー」ボン(ドイツ)
 「チェアーズ・フォー・アブダビ」アブダビ(アラブ首長国連邦)
 「Expand BankART」BankART Studio NYK/横浜(神奈川)

2013年
 「ログタワー」トゥルガウ美術館/イッティンゲン(スイス)
 「カマルグ・水の小径プロジェクト」カマルグ美術館、カマルグ地方自然公園/カマルグ(フランス)
 「ファベーラ・カフェ」アートフェア・バーゼル/バーゼル(スイス)
 「コレクティブ・フォリー」ラヴィエット公園/パリ(フランス)
 「ツリー・ハット・イン・ヴァンドーム広場」パリ(フランス)
 「アンステイブル・テリトリー」フェイレンツェ(イタリア)
 「リヨン・プロジェクトーソーヌの流れ」リヨン(フランス)

2014年
 「MAK-アジア・パーマネント・コレクション』(中国-日本-韓国) 応用芸術博物館(MAK)/ウィーン(オーストリア)
 「プロジェクト・コンストラクション」トゥルガウ美術館/イッティンゲン(スイス)
 「ボックス・コントラクションII」ギャラリー604/釜山(韓国)
 「トロント・ランプ・ポスト」トロント(カナダ)

2015年
 「ユーズ・オブ・タイム」クンストハウス/ツグ(スイス)
 「ステアーズ」アヌリー・ジュダ・ファイン・アート/ロンドン(イギリス)
 「広州プロジェクト」広州(中国)

2016年
 「アンダー・ザ・ウォーター」ポンピドゥー・メッツ/メッツ(フランス)
 「ツリーハット・イン・ブリュッセル」ブリュッセル(ベルギー)
 「The Huts in Atlanta」アトランタ(オーストラリア)

2017年 
 「シャワー」ナポリ(イタリア)
 「チェアー・シェアー・プロジェクト」エーレブルー(スウェーデン)

2018年 
 「ヴィラ・ベアトリクス・エネア」アングレット(フランス)
 「ニュアージュ・レクイエム トゥールーズ-ロートレック」シャトー・マルローム(フランス)
 「パラサイト」プーシキン美術館/モスクワ(ロシア)
 「ネスト(巣)」釜山市立美術館/釜山(韓国)

2019年 
 「エルミタージュ展望台」ナント(フランス)
 「ネスト・プロジェクト・ナント」ナント市内各所(フランス)
 「ポワチエ・プロジェクト」ポワチエ(フランス)

2022年 
 「ツリー・ハット・イン・モンペリエ」GGL財団/モンペリエ(フランス)
 「ネスト・イン・ミラノ」ミラノ(イタリア)

主なグループ展

1982年
「第40回ヴェネチア・ビエンナーレ」ヴェネチア/イタリア

1983年
「木のかたちとエスプリ」埼玉県立近代美術館/埼玉
「素材と空間」福岡市美術館/福岡

1987年
「ジャポン・アール・ヴィヴァン’87」グルノーブル/フランス
「ドクメンタ8」カッセル/ドイツ
「第19回サンパウロ国際ビエンナーレ」サンパウロ/ブラジル

1990年 
「プライマル・スピリット」カナダ国立美術館/オタワ(カナダ)
「ランドスケープ」バヨウ川岸/ヒューストン(アメリカ)

1991年 
「第4回牛窓国際芸術祭」牛窓/岡山

1992年 
「ドクメンタ9」カッセル(ドイツ)

1993年
「第2回リヨン現代美術ビエンナーレ」リヨン(フランス)

1994年 
「アジアの想像力」広島市現代美術館/広島

1995年 
「日本の現代美術 1985-1995」東京都現代美術館/東京

1997年 
「第3回ミュンスター彫刻プロジェクト」ミュンスター(ドイツ)

1998年 
「第11回シドニービエンナーレ」シドニー(オーストラリア)

1999年 
「アートフォーカス3: 現代美術国際ビエンナーレ」エルサレム(イスラエル)

2000年
「越後妻有アートトリエンナーレ」(’03, ’06, ’09, ’12, ’15, ’18, ’22)/新潟

2001年
「第6回北九州トリエンナーレ」

2002年
「釜山ビエンナーレ」釜山(韓国)
「第4回上海ビエンナーレ」上海(中国)

2003年 
「ヴァレンシア・ビエンナーレ」ヴァレンシア(スペイン)

2007年
「アートバーゼル2007」バーゼル(スイス)

2009年
「メール・ビエンナーレ2009」メール(ドイツ)

2010年
「瀬戸内国際芸術祭」向島/広島
「第1回ムンシン国際彫刻シンポジウム」マサン(韓国)

2012年 
「TRACK」ゲント(ベルギー)

2013年 
「サイト−場所の記憶、場所の力−」広島市現代美術館/広島
「トロント・ニュイ・ブランシュ 2013」トロント(カナダ)

2014年
「国東半島芸術祭2014」国東市/大分

2015年
「トリエンナーレ・ブリュージュ2015」ブリュージュ(ベルギー)

2016年
「東アジア文化都市2016奈良市」奈良/奈良

2017年
「北アルプス国際芸術祭」(’20)信濃大町/長野

2018年
「第7回アングレット・ビエンナーレ」アングレット/フランス
「東アジア文化都市2018金沢」金沢/石川

2020年 
「ヘルシンキ・ビエンナーレ」ヘルシンキ(フィンランド)

2021年
 「Reborn-Art Festival 2021-22[ 後期 ]」石巻/宮城

受賞歴

1999年
 (財)日本文化芸術財団、日本現代芸術振興賞

2013年
 芸術選奨文部科学大臣賞受賞

パブリックコレクション

東京国立近代美術館、国立国際美術館、豊田市美術館、高松市美術館、目黒美術館、ボストン美術館

🤲