レポート
2022.6.24 - 2022.6.27

黒川岳さん初来八!

本展の会期に先駆け、今年9月に黒川岳さんの作品《石を聴く》を美術館広場で展示予定です。
今回、黒川さんに来八していただき、9月の展示について打合せをしました。
黒川さんにとって初めての八戸滞在です。

 

滞在1日目

まずはジャイアントルームにて、作品の運搬設置を担当する梅重畑中造園さんを交え、打合せを行いました。作品はトン単位の重量があるため、対応できる機材が限られます。機材の他、設置方法や日程など、梅重畑中造園さんに相談しながら調整しました。

石の詳しい展示場所については美術館広場で。皆が石になりきり、展示予定場所に移動しながらの話し合いとなりました。

黒川さんいわく、展示するにあたり、作品の位置や穴の向きはとても重要になるそうです。作品の周りの環境によって、おのずと穴の中で響く音が変化します。作品が置かれた状態を想像しながら、黒川さんは展示場所を考えていました。

この時、繊細さを要する真剣な作業を進めながらも、黒川さんが終始楽しそうに考えを巡らせていたのが印象的でした。また、梅重畑中造園さんはこの日以前の相談段階から「このプロジェクト、面白いですね!」と言ってくださり、打合せ当日も、親身になって展示場所を考えてくださいました。

その後は、八戸の石の性質についてリサーチ。
梅重畑中造園さんの説明を受けながら、実際に八戸の石を見て、制作のイメージを膨らませます。

撮影し、触れながら石を観察する黒川さんの姿は、まるで石と会話しているようでした。

 

滞在2日目

美術館全館を使用したプロジェクト「ジャイアント食堂」を開催していたので、黒川さんに館の使われ方や、プロジェクトの雰囲気をみていただきました。
また、八戸ポータルミュージアムはっちや八戸ブックセンターなど、美術館周辺の文化施設に赴き、中心街の様子もみていただきました。八戸市立図書館では八戸の地盤の成り立ち、石にまつわる伝説や民話を探したそうで、後ほど黒川さんから「山がケンカするという民話は、地盤隆起などの史実に基づいているかもしれない」と教えていただきました。

 

滞在3日目

蕪島、西宮神社の鯨石、葦毛崎展望台、白浜海岸、鮫角灯台など、海岸周辺を中心に八戸の石をリサーチしました。
黒川さんはこの日もじっくり石と向き合っていました。一時、車で移動する程の距離を、黒川さんだけ別行動で白浜を歩いて回った場面もありました。黒川さんの体力と好奇心に驚かされます。

 

滞在4日目

午前中、ジャイアントルームで八戸の地層や歴史に詳しい高橋晃さんからお話を伺いました。八戸市内には意外と自然の石が、住宅や施設などの生活圏内に残っていることがわかりました。黒川さんと私でお話を伺ったのですが、どのお話も興味深く、あっという間に2時間経っていました。
午後は黒川さんが3日目で見きれなかった場所にリサーチへ。夕方からは黒川さん、梅重畑中造園さん、担当学芸員で集まり、八戸の石の探し方など相談させていただきました。

 

今回の八戸滞在では、主に美術館広場の作品展示について詳細を決める機会となりました。今後は引き続き広場での展示準備をしながら、新作に向けた八戸の石探しを進めていきます。

黒川さんの作品が展示され、美術館広場の表情がどのように変化するのか。どうぞ楽しみにしていてください。

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